やさしい手
- こめす
- 10月14日
- 読了時間: 2分
ある患者さんは、認知症が進んでいて、いつも「ぺっぺっ」と唾を吐くしぐさをされます。触られるのが苦手で、血圧測定も嫌がられることが多い方です。
そんな患者さんの訪問に、看護師Iさんが岩崎さんと一緒に初めて伺いました。予想どおり、最初は「いやいや」と拒否気味の反応。
でも、トイレに行くために娘さんが介助していたときのこと。Iさんがそっと近づき、患者さんが気づかない間に自然に手を差し出すと―― なんと、患者さんは自分でも気づかないうちにIさんの手を取って歩き出したのです。
しかもその瞬間、柱が間にあったのですが、Iさんはためらうことなくスッと体を回し、柱の向こう側で反対の手を差し出して、途切れることなくスムーズにサポート。その動きがあまりに自然だったそう。 その一連の様子を見ていた娘さんは、Iさんに対して笑顔で「(背格好や雰囲気が)甥っこに似てるかも〜!」とひとこと。
患者さんの娘さんも、Iさんの優しさを自然に受け入れていました。
見ていた岩崎さんは思わず「完敗だわ」と思ったそうです。
こういうことを“特別に見せようとせず”、本当に自然にできてしまうIさん。
そのやさしさと技術に、私たちスタッフも感動しました。
私自身もこの話を聞いたとき、涙が止まりませんでした。
母の病気・介護を思い出し、もしあのときこんな看護師さんがそばにいてくれたら――
そう想像したら、胸がいっぱいになってしまいました。







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